日本思想の根底にあるもの

元 筑波大学教授 広神 清

 

Abstract

 日本は、その地理上の位置から見て、大陸の東方に南北に連なる列島であることから、思想の面でも、古来、大陸の強い影響を受けてきた。

 日本思想の中核を成すものは神道であるが、これを一本の樹にたとえた場合、その根幹あるいは種子は日本独特であるとしても、その樹木に開花・結実を促すもの、そして、その樹木の生命を保持するものは、すべてが外来の儒教・仏教・道教であった。

 この観点に立って、日本神道と、儒教・仏教・道教などを主とする外来の中国思想との相関関係を検討してみたい。

 神道にはさまざまな流派があるが、ここでは特に中世神道、、なかんずく唯一神道を例にとるとする。

 

Content

1.        神道とは何か

2.        古神道の性格

3.        古神道における「神」

4.        古神道における「祭り」

5.        古神道の倫理

6.        古神道の遺産

A.       地鎮祭りについて

B.       神前結婚式について

C.       その他の民俗行事について

7.        唯一神道の性格

A.       「神道」という呼称の由来

B.       神道は天地万物に遍満する

8.        唯一神道と「根葉花実論」

9.        唯一神道と外来思想の摂取・受容